Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
せいしょ
聖書
生田 春月
Leggi 聖書 (せいしょ) di 生田 春月 (いくたしゅんげつ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3023 caratteri · 6 schermate
女中さんは妙にくすりと云ったような微笑をうかべて僕の手つきを見て、それから若旦那の方を見て、
「あの、御用でございますか?」
「あのね、奥の居間の押入にね、ウィスキイとキュラソオの瓶があった筈だから、あれを持っておいで」
女中さんが大形のウィスキイの瓶と妙な恰好をしたキュラソオの瓶とを盆に載せて持って来た時、Kさんは安楽椅子にずっと反身になって、上靴をつけた片足を膝の上に載せて、肱をもたげて半ば灰になった葉巻を支えながら、壁に掲げたロセッティの受胎告知の絵の方をじっと見ていると、僕も丁度その真似をするように、同じく椅子の上に身を反らして、片足を膝の上に載せたはいいが、恥しながら真黒な足袋の裏を見せて、やっぱり葉巻をささげて、少し首を入口の方へふり向けてロセッティを見ていた。この頗る冥想的な場面に女中さんの紅くふくれた頬が例の階段上の弾奏を先き触れにして現れた、と思うと、いきなりぷっと噴き出した。
「おや、どうした?」とKさんは冥想を破られて言った。
僕は女中さんの顔を見ると、ひどくきまり悪そうに丸い頬を一層紅くして、目を落してしまった。これはきっと僕に何かおかしいところがあったのに違いないと思って、僕もすっかり照れて、ふと手の葉巻を見ると火が消えていた。