Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

Leggi 脱線息子 (だっせんむすこ) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.293 caratteri · 221 schermate

Aozora Bunko

お天下さま

丁度その頃に正式の申込をすることになる。

「あら、何故?」

「大変なことがあるんですよ」

「大変?」

「いゝえ、一寸差支えるんですよ」

「お繰合わせはつかなくって?」

「えゝ、堪忍して下さい」

「それじゃその次の日曜は?」

「当分駄目です」

「あなたは余りね」

「でも実際具合が悪いんです」

「何故?」

「何故って、さあ、困りましたなあ」

「もう宜いわ」

「秀子さん!」

「何よ」

「上れない次第は今度の日曜あたりに分ります。秀子さん、何うか悪しからず」

「堪忍して上げるわ。ガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーさんが怖いと見えて小さなお声ね。それじゃ切ってよ」

「はあ」

「さよなら」

「さよなら」

お天下さま

松浦家では家つきの貞子夫人が采配を振っている。御主人清次郎氏は生来の温厚人だ。婿養子に来てから三十年間、一度でも自説を主張したことがない。万事奥さんの御意に委せる。結婚早々、自分の立場としてはこれが一番安全な政策と考えて、以来丹念に実行している。

唯の夫婦でも強い細君は弱い良人の鼻綱を取る。家庭生活も優勝劣敗を免れない。主人は外へ出て稼ぐ丈け歩が好いようなものゝ、

「主人が稼がないで誰が稼ぐのですか?」