Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Leggi 自由人 (じゆうじん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.030 caratteri · 139 schermate

Aozora Bunko

これはどういうことかね。時々僕は癇癪を起したくなる。じっと我慢をしてはいるが、どうにもやりきれなくなって、癇癪を破裂させることもある。要するに、神経衰弱だ。それが僕の主な病気だよ。然し、この病気には、やはり肉体上のはっきりした原因がある筈だ。それを、小泉博士につきとめて貰いたいと思っているのだ。」

彼は口を噤んだが、北村にも言葉は出なかった。――一家の主長、それも謂わば絶対的な主権者が、右のような打明け話をするのも、而も平素あまり好まれていないらしい北村に向ってするのも、やはり一種の神経衰弱のせいだったろうか。偶然の機会で打明話の相手になった自分の立場を、北村は不思議なものに感じたし、松本の立場を痛々しいものにも感じた。その感じを押し隠すようにして、彼は卓上に眼を伏せたままでいた。

松本は立ち上った。

「それでは、これで失礼するよ。あちらで、ゆっくりしていってくれ給い。田舎からの到来物だが、折よく酒があるから、子供たちと遊んでいってくれよ。子供たちには、君のような遊び相手がいちばん嬉しいらしい。」

思いがけないほど元気に彼は笑った。

北村はつっ立って、松本の前屈みの後姿を見送った。