Classici giapponesi con furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Leggi 自由人 (じゆうじん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.030 caratteri · 139 schermate
そういう話になると、周は途方もない夢想を披瀝するのである。ただ不思議なのは、彼にあっては、なにかしら実行力とも言えるような感じの裏付けがあることだ。殊に漢方薬のことについては、さまざまな専門的知識が織り込まれる。菅原はぼんやり聞きほれていた。酒に赤らんだ周の顔が、殆んど微笑することはなく、突然に呵々大笑する。粗末な室で、絨氈を敷いた上に支那風の卓や椅子を置き並べ、連句の柱掛だけがやたらに多い。その中に、洋装の周夫妻がゆったりおさまってるのだが、少しも不調和な感じはしない。縁先に狭い庭があって、こおろぎが鳴いている。
いつのまにか電燈がともっていた。
新居についての夢想が一通り終ると、周はなおいろいろなことを話した。その中に、菅原の注意を惹く一事があった。――兄の周志淵が、近いうち日本に来るかも知れないというのである。彼は今、上海市庁の要職に就いているが、日本視察団の一行に加わりたがって、いろいろ画策しているらしい。そのことを、周は憤慨しているのだ。
周は菅原の顔に眼を据えて言う。
「兄と君との間の感情を、僕はとやかく言うのではない。兄は心から君に感謝しているし、君もたぶん兄に好意を持っているだろう。