Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えんしょ

艶書

山本 周五郎

Leggi 艶書 (えんしょ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.027 caratteri · 50 schermate

Aozora Bunko

「おれは出さんが好きだ、出さんのように自分を売りたがらない人間がおれは好きだ、今夜はすまなかったな、兄貴にも黙っていてくれよ」

そして半兵衛は引き返していった。

約半月のあいだ、城下ぜんたいが不安な暗い気分の下に息をひそめていた。出三郎も外出をやめ、夜になるのを待ちかねて、城から下ってくる兄の話しを聞いた。掬水楼襲撃という出来事は誇張して(噂というものがいつもそうであるように)伝えられ、半兵衛はほとんど英雄のように評された。もちろん、現在の重職陣には決定的な打撃であった。刺客五人のうち、即死二人、重傷して三日のちに死んだ者一人(笠井忠也)生き残った者二人であるが、その生き証人の口から、

「半兵衛暗殺」の計画が詳しく告白されたのである。

「ばかなことをするものだ」兄の和兵衛は話すたびに云った、「定高を斬ってどうしようというのだ、半兵衛がなんだというのだ、おかしなことを考える連中だ、みんな気でも狂ったに違いない」

真相を知らない兄が出三郎にはおかしかった。

城代家老の村山享書が辞職し、末席の河井右京がその代役に直った。それが十月はじめのことで、次に江戸の老職のうち三分の二が交代し、国許では河井右京のほか全重職が(順次にではあったが)入れ替った。