Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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そうもくちゅうぎょ

艸木虫魚

薄田 泣菫

Leggi 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) di 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 114.254 caratteri · 226 schermate

Aozora Bunko

見るとかまきりだ。かまきりはたった今生捕ったばかしの小さな赤とんぼを、大事そうに両手でもって胸へ抱え込んでいる。

哀れな犠牲だ。私はかろく指さきでその赤とんぼの羽に触ってみた。あわよくば助けてやりたかったのだ。かまきりは立ちとまった。要らぬおせっかいを癪にさえたらしく、胸をそらして身構えた。私はまたとんぼの尻尾に触ろうとした。それを見たかまきりは、一足しさって高く右手の鎌をふりあげた。私はまたとんぼの頭を小突いた。その一刹那かまきりは赤とんぼをふり捨てて、両手の鎌をふりかざして手向って来た。私は指さきでその草色の背を押えた。処女が他人に肌を弄られたような無気味さと恥辱とに身をふるわしながら、かまきりはいきなり私の指に噛みつこうとした。私はかろくそれを弾き飛ばした。よろよろとよろけた虫は、両脚をつよくしっかりと踏みはだかって、やっと立ち直ったかと思うと、すぐまた鎌を尖らして来た。

「なかなかしぶとい奴だな。それじゃ、こうしてくれる……」

私はすきを見て、相手の細っこい首根っこを両指につまみあげようとして、その瞬間自分が今争っているのは、草色の背をした小さな秋の虫ではなく、私自身の胸の奥に巣くっている反抗心そのものであるような気がしたので、そのままそっと指を引っこめてしまった。