Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しば、あざぶ

芝、麻布

小山内 薫

Leggi 芝、麻布 (しば、あざぶ) di 小山内 薫 (おさないかおる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7170 caratteri · 15 schermate

Aozora Bunko

省電がひっきりなしに、右から左へ、左から右へと通る。庭向きの広間で客と用談などをしていても、電車が通ったり汽車が通ったりする間はまるで話が聞えない。それが殆ど昼夜ぶっ通しで、ほんとにしずかになるのは、ほんの夜中の二、三時間ぐらいなものである。

成程、これは安いわけだと思っていると、私の家内が夜中にうなされる。白い着物を着た怪しいものを見る。裏の土蔵の戸前に「乳房榎」の芝居の番付がはってあったのを誰かが見つけて、愈々騒ぎ出す。その内に、初めて来た若い魚屋が置いて行ったバカのむきみに家中の者があたって、吐きくだしをする。しかもその魚屋はそれっきり勘定をとりに来ないというような変なことがあったので、女達が神経質になって、いろ/\調べると、なんでもこの家の元の持主は、事業に失敗して、土蔵の中で縊れたが死に切れず、庭の井戸へ身を投げて命を果てたのだというのである。そう聞いて見ると、今の持主が農工銀行で、家賃を毎月銀行へ収めに行くのも、変といえば変である。

とうとう気味が悪くなって、私の家は麻布の森元へ、姉の家は愛宕へ越したが、間もなく高輪の家は取こわされて、自動車のギャレエジになってしまった。