Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
「たいそう忙しいんじゃなあ。いつか、おれのために、閑をつくってくれんさいや」
「そのうちにね」
時次郎は、つれないマンの態度に、あきらかに、失望のいろをあらわしたが、それでも、にこにこ顔をつくって、
「そんなら、また」
と、愛馬の頭をめぐらした。上背のある、たくましい栗毛の四歳馬である。
「時やん」
と、マンは、急に、すこし狼狽した顔で、呼びとめた。
「あン?」
「あんた、七瀬の水車のところを通って、帰りんさるかね?」
「そうよ。あの道しかないけえ。それが、どうかしたな?」
「どうも、しやせん」
マンは、くるりと廻ると、飛びあがるようにして、家の方に走った。
家の下の崖まで来て、足音を殺した。斜になった石段を、そっと登った。母にさとられぬよう、裏手の牛小屋の方に廻った。
すると、どこにいたのか、愛犬のシュンが、暗闇のなかから飛びだして来た。はげしく尾をふり、クウン、クウンと鼻を鳴らして、まつわりつく。
「シイッ、シッ」
びっくりして、追ったけれども、シュンは逃げない。昼間からずっと、一番可愛がってくれる主を見なかったので、よっぽどうれしかったらしい。煙草葉を入れた笊を落しそうになるほど、騒々しく飛びかかって、じゃれる。