Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
夫婦は、寝物語に、いく度、「新公はどうしたかなあ」と、話しあったか知れない。
「森の新さんは?」
君香を招じ入れると、マンの口をまっ先について出たのは、その言葉だった。
「新之助はんは、福岡の監獄に居やはります」
「監獄?」
「へえ。実は、そのことで、あて、伺いましたのやけど、……玉井はんは?」
「うちのは、こないだから、ちょっと、旅に出とりますけど、……新さんが、どうして、また監獄なんかに?……」
聞きたいのは、なによりも、そのことだった。
彦島のとき、洋装のハイカラ美人として、マンたちの眼をそばたてさせた君香は、もう、どこにもいなかった。なにからなにまで純日本式で、どこかの料亭の女将風である。鬘下にした頭髪も小粋だし、黒襟からのぞいている青いほどの襟足も水々しい。あの時分から、下ぶくれの丸顔に、落ちついた表情があったが、二年間の歳月が、さらに、その顔に或る重味を加えている。それは、太々しさのようにも見えた。唇の右下の黒子だけが、昔のままだ。
マンの汲んで出した番茶をすすりながら、君香は、家の中を見まわした。
「赤ちゃんは、出来はらしまへなんだのだッか?」