Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
ひろげて、皺をのばし、筋くれだった平手で、ぱんと叩いてから、金五郎の鼻先に突きつけた。
「これを、見れ」
金五郎は、その青罫紙を受けとって、読んだ。
譲渡証である。――「次回入港予定ノパナマ丸、荷物炭一千トン積込ミ荷役ハ、本日、頂戴致シタル金員ノ代償トシテ、貴殿ニ譲渡仕候段、相違無之、後日ノ為、並ニ一札認メ置候也」そして、永田杢次の署名と捺印。
本文は別だが、その署名の筆蹟は、乱れてはいるけれども、永田のものに相違なかった。印形も、実印だ。
(また、やられたか?)
しまった――と思い、金五郎は、唇を噛んだ。
前にも、数回、同じようなことがあった。そのときは、事件が小さすぎたので、問題とするに足りなかったけれども、永田杢次は、充分、戒心していた筈である。近来、酒乱の傾向があり、泥酔中の記憶は、ほとんど喪失するようになっていた。それを奇貨として、陰謀が企らまれる。それには、サクが利用された。無知なサクは、ただ金が必要なために、奸計にやすやすと陥って、永田杢次に、いろいろな証書に、署名捺印させた。甘い永田は、サクのいうことなら、なんでも聞く。
(この譲渡証も、親方の酔いにつけこんで、サクを介して、行われたものにちがいない)