Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
表には、「永田清涼飲料水製造所」という看板が出ているが、入口の鴨居には、昔の「永田組」の提灯がかかげられてある。一日の仕事を終えた工場では、四五人の従業員が、ラムネの瓶を箱詰にしたり、割れたガラスの欠片を、竹箒で、掃き集めたりしている。
「おごめんなさい」
「おう、玉井か。おあがり」
茶の間で、長火鉢を挟み、永田夫婦は糸巻きをしていた。杢次が両手首にかけた白糸の束を、ヨネがくるくると巻き取っている。糸がほぐれてゆくたびに、手首を柔軟に動かして、杢次はなかなか要領がよい。
それを、かたわらで、息子の茂次平が、面白そうに眺めている。
長火鉢の横に、坐ると、
「親方、刀をあげましょう」
そういって、紫の袱紗に入った二本の刀を、永田杢次の前に、置いた。
「そうか、そりゃ、おおきに」
永田は、糸を外し、日本刀を抜いた。何度も刀身を眺めて、よろこんだ。以前にくらべて、ずっと、健康そうである。
ヨネが、酒の燗をつけて来た。
「玉井、今度、お前の発案で、小頭の組合を作るそうじゃないか」
「そうしようと思っています」
「ええ事じゃなあ」
「でも、困ることがあるんですよ。聯合組や、三井物産、大高組、などは賛成してくれたんですが、友田喜造の共働組だけが、どうしても入らんのです」