Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
マンの誤解は、いつか解ける日があるであろう。それまでは、一ヶ月帰らなくとも、三ヶ月帰らなくとも、一通の便りが来なくとも、金五郎は苦にしなかった。たとえ、その期間中、時次郎が傍にいたところで、心配はしない。まして、嫉妬の感情など、全然、湧かなかった。おどけ好きの金五郎は、それを面白がる気持さえ、なかったとはいえない。
ところが、林助から聞かされた言葉は、青天の霹靂より、もっと、衝撃が大きかった。
(マンが、時次郎のいることを隠すとなれば、ただごとではない)
金五郎は、あたりが暗黒になるような昏迷と、絶望感とで、泳ぐ手から、次第に、力が抜けた。それでも引っかえす気にならず、機械のように、無意識に、なお、青空と白雲の隊列とを目標に、沖へ沖へと出て行った。手足の痺れるのを感じ、ときどき、くらくらと眼まいをおぼえた。それでも、金五郎の頭は、水平線の方角から動かなかった。
「おうい、オヤジい」
意識朦朧となりかかっても、なお泳ぎつづける金五郎の背後から、一隻の小伝馬船が、全速力で、追っかけて来た。「六ゾロの源」、清七、「中学生」の三人が乗っている。
金五郎は、伝馬船のうえに引きあげられた。