Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

すると、横から、松本重雄が声を落して、

「オヤジ」

「うん?」

「変な噂がありよるですよ。床屋で話しよったが、――玉井組が全員、「蛭子座」に坐るというなら友田組も全部坐って、なにかの因縁をつけて、今度は根こそぎ、玉井組をやっつけてしまう。……なんて、気をつけたがええです」

「またか。うるさいのう」金五郎は、舌打ちしたが、闊達に笑って、「勝手にさせちょけ。おれは一度死んだ人間じゃ。もう、どんなことが来たって、恐いことはない。どこまで彼奴等の無茶が通るか、こうなったら、根くらべじゃよ」

死の谷を抜けて来て、金五郎には、自分でもよくわからぬ、なにかの新しい力が、自分に附与された思いがしていた。後退するよりも、さらに前進する勇気が、身内に溢れている。

金五郎は、ようやく繃帯の取れた額に手をやった。横なぐりに叩きつけられた鈍刀で、頭の皮が帽子をぬぐようにめくれた。それをまた被せて縫ったところが、三日月型の大きな傷になっている。そこから、たくさんの血が流れ出たが、そのかわりに、なにか新しい元素のようなものが、注入されたようであった。

(もう、おれは、二度と死なない)