Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

金五郎から受けとった名刺と、財布の中の物とを、巡査はしきりに照らしあわせはじめた。

群衆は好奇心にあふれた眼で、この場のなりゆきを眺めていたが、もっとも、驚愕に近い眸で、射るように、金五郎を凝視していたのは老掏摸であった。

手錠をはずされ、くしゃくしゃになった着物を着たが、帯をしめ、草履をはく間中も、その視線は金五郎から離れなかった。般若の五郎は、方々にかすり傷をこしらえ、額には瘤、歯茎にはうっすらと血をにじませている。しかし、どんなに、不審そうに、洋服紳士を見つめても、彼には正体を知ることが出来ないようだった。不思議でたまらぬように、小首を傾ける。

(自分の財布を盗んだ泥棒の着物を、拾ってやる人間が、どこの世界にあるだろうか?)

老掏摸の表情は、あきらかに、そういっているように見えた。

巡査は点検を終ると、相違ないと思ったらしく、書類になにかを書きこんでから、財布を返してくれた。

「巡査さん、この人を、許してあげて下さいませんか。わたしが、身元引請人になりますが……」

「そういうわけには、いかんですよ。被害者はあなた一人じゃないし、取り調べをせにゃならんから、豚箱に入れます。