Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

県会議員に推挙しようという動きもある。

こういう風になって来ても、金五郎とマンとは、口癖に、「おれたちは、石炭仲仕じゃ。裸一貫、門司、下関、戸畑、それから、若松に来てからも、石炭の中で、まっ黒になって働いたことを忘れまい」と、話しあった。現在でも、金五郎は半纏姿で、沖の現場に行くことを欠かさなかった。長男の勝則にも、「お前はゴンゾの子じゃぞ。そして、お前もゴンゾなのじゃぞ」と、機会ある毎にいましめた。その勝則は、すでに、二十五歳の逞しい青年になって、「玉井組」の半纏がけで、毎日、仕事に精出している。

そして、こういう長年月の生活の根桟に、つねに、般若の五郎の言葉が、重々しく、光りかがやいていたのであった。その五郎に、三十年ぶりで、奇妙な邂逅をしたわけである。

ただ、金五郎のへこたれたのは、彫青であった。

(五郎さんの彫青も、お京が彫ったものじゃろうか?)

そうかも知れない。しかし、全身総彫青の五郎は、左腕一本だけの金五郎のように、それを後悔し、苦しみ悩んだか、どうか?――実に、後年の金五郎にとっては、彫青は地獄に類するものといってよかった。

(いっそ、腕一本、切ってしまおうか?)