Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
そやけど、ちょっと、外に、用があるけん」
「どげな?」
「お父さんの演説会のたんびに、欠かさんで、聞きに来る人があるそうね?」
「そりゃ、あるかも知れん」
「女の人で?」
「女?……女にゃあ、あるまい」
「逢うてみにゃわからんけど、たいそう小粋な別嬪さんとのこと。……その人、いつか、東京から、お父さんの財布を送りかえして来た、スリの女親分じゃないか知らん?……どうも、そんな気がするけんど、……」
大石が奇妙な顔をして、黒石をつまんだまま、
「へえエ? ありゃあ、女スリですか?」
「ありゃあ――なんて、大石さん、あんたも、その女、気づいとったとですか」
金五郎は、すこしどぎまぎして、訊ねた。
「気がついとりましたよ。初回のときは、別になんとも思わんじゃったけんど、あんまり、毎回じゃけ、鈍なわたしも、変に思うて見るようになりました。聴衆が大勢のときには、どこに紛れこんどってもわからんけんど、小さい会場で、小人数のときにゃ、あげな女は、じき目につく。それでも、なんか、玉井さんの眼には隠れるごとして、ショールで顔を埋めたり、戸口の廊下から、そっと覗いたりしとるとです。みんなと――あの女、なんじゃろうか?……ちゅうて、話しあうとったとですよ」