Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

光丸も、会釈をかえしたが、マンと視線が逢うと、ふっと、眼を伏せた。

「あっちへ、行きましょう」

マンは、公会堂の裏に出て、蛭子神社の方へ、女をみちびいた。

女は、おとなしく、ついて来る。

境内の大榎の根元に、長いベンチがある。それに、マンが黙って腰かけると、女も、無言で、左手に、坐った。夜風がひいやりとする。すぐ前に、池があって、中心の石亀が、口から噴水を高くふきあげている。それが霧になって散り、暗い社燈にきらめきながら、雨のような音を立てて、水面に落ちる。鯉がたくさんいるらしく、水の落ちるところで、ときどきはねる。

二人とも、それを眺めて、暫時、沈黙していたが、マンの方から、口を切った。

「お京さん」

女は返事をしない。袂で、口をおさえ、笑いを噛み殺している。

「お京さん」

と、もう一度、呼んだ。

「いいえ、あたし、お京ではありませんわ」

女は、そういって、マンの方を向いた。真面目な顔になっている。美しい瓜実顔が正面になって、かすかな社燈の光に浮き出たとき、マンは、あッと、思いだした。舞台で遠くから見たのと、すぐ傍で見るのとでは、感じがちがうけれども、温習会の夜、「夕立」