Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
「お父さん」
そのマンの声も、もう、聞えないらしかった。
「秀子、すぐ、高山先生を呼んでおいで」
秀子は、医者のところへ駈けだして行った。
ババンに手つだって貰って、重い金五郎を、便所の中からかつぎだした。廊下をずるずる引きずって、座敷につれて来た。金五郎は、かすかに呻いて、眼を引っぱりあけようとした。しかし、上下の瞼がくっついたように、離れない。そのドロッとした不気味な眼を見て、マンは、ぞっとした。
「どげしたとかなあ」
ババンは、もう、おろおろしている。
「毒を盛られたとかも知れん?……畜生」
気の立っているマンは、涙も出ない。歯を噛み折るほどの口惜しさだった。
高山医師が、やって来た。ちょっと診察して、
「河豚中毒です」
と、いった。
「河豚?」
マンは、唖然とした。呆然となった。あッと口が開いたまま、ふさがらない。
医師は、応急手当をした。ゴム管を口中から、胃袋までさしこんで、吐瀉させた。薬をのませ、幾本も注射を打った。
「勝則は?」
と、ババンが、マンの顔を見た。
マンは、答える気力がない。
「勝則が居らんのに、もしものことがあったら、……?」
「もう、大丈夫です」