Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

「さあ、歌え」

バイスケに見立てた朱塗の盆を持って、金五郎は催促する。

マンは、心をこめて、歌いだした。

あたしゃ仲仕で、

半纏育ち、

長い着物にゃ、

縁がない……

滑稽な恰好で、金五郎が天狗とり荷役の真似をする。

見物はよろこんで、大喝采。

マンは歌いながら、涙が流れた。

狂気じみた団欒の馬鹿騒ぎが、夜おそくまで、続けられた。

寝室に引きとってから、金五郎は、明けがた近くまで、なにか、しきりと、書きものをしていた。終ると、そっと、手金庫を開けた。森新之助からあずかった、ブローニングのピストルを取りだした。

「お父さん、まだ、起きとるの?」

隣室から、マンの声がした。そういうマンの方が、夕方からの夫の行動が気がかりで、ずっと眠れずにいたらしい。

「うん」

生返事すると、金五郎は、あわてて、ピストルを、寝巻の懐に隠した。

「もう、朝よ。寝不足が一番身体に悪いわ。おやすみなさい」

「それがなあ」と、金五郎の声がおどけ笑いを含んで、「こないだ、お前から打たれた頬べんたが疼いて、寝られん」

「なにいうとるの?」呆れたように、そういったが、急に、マンの声も、妙にいたずらっぽくなって、「そんなら、お父さん、ええ痛み止めの呪禁、教えてあげようか」