Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
慟哭したい。
金五郎は、舳に立った。港に背を向け、黒々と荒れる外海に向かって、胸を張った。
「馬、鹿、野、郎、……」
一字ずつ、区切って、声をかぎりに、絶叫した。声は暗い海に呑まれて、なんの谺もかえっては来なかった。
「魚でも、とるか」
そう呟いて、面白くもなさそうに、ところどころに、投網を入れた。気乗りもせぬ打ちかたをしているのに、不思議に、いくらでも入る。大漁である。
腕時計を見た。午前三時。はっとした。眼が光りだした。また、力のかぎり、港内に向かって漕ぎだした。
中ノ島の横まで来ると、さかんに、夜業をしている一隻の汽船が見えた。
「友田」と入った提灯がいくつも点っている。
「寿満丸」という船名が、夜荷役のため、明かるいライトをつけているので、舳に、はっきりと、白く読まれる。
(やっぱり、……)
金五郎は、全身、硬直する思いがした。
寿満丸に、荷物炭二七〇〇トンを、徹宵、積込作業をすることは、調査して、はじめから、わかっている。しかも、それが、共働組でやることもわかっていた。金五郎は、投網打ちに出たとき、この寿満丸のことは、最初から、念頭にあったのである。