Classici giapponesi con furigana
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はなふぶき
花ふぶき
豊島 与志雄
Leggi 花ふぶき (はなふぶき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9409 caratteri · 20 schermate
おれ一人、思えば、みんなのだしに使われてるようだ。ばかばかしい限りだ。どうにでもなるがいい。こんなところに千代がいるものか。
おれは足を早めた。午前中の大気はすがすがしく穏やかだが、時をおいて、へんに強い風が流れる。もっと強く風が吹けば、空の薄らがすみも晴れ渡るだろう。
神社の境内はひっそりしていた。見渡しても千代はいない……。だが、彼方に、じっと佇んでるのが、やはり千代だった。
相変らず臙脂系統の衣類だが、いつものと違って、大きな御所車の模様が浮き出している。首が短くて髪はひっつめで、顔は一見して白痴の相だ。ぼんやりつっ立って上を仰いでいる。桜の花弁が一輪二輪、散ってるようだが、また、さーっと風が流れると、一面に、と思えるほどの花ふぶきになった。その花弁を、千代は袖に受けて、指先でかき集め、口に持っていってかじりはじめた。
おれの方が狂気の思いだった。憎悪の念などは吹っ飛んで、愛情、じゃあない、彼女と同類の気持ちだ。負けた、という思いがちらとひらめたが、あとはしいんとなった。花ふぶきのあとの花弁が、まだ空中に舞っている。おれは千代の方へ歩みよった。