Classici giapponesi con furigana
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Leggi 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.046 caratteri · 104 schermate
二
二
千代香はいよいよ素人のお千代になって、ここに目出度神楽坂裏の妾宅に引越し、待合松風の世話で来た五十ばかりの老婢を相手に一日ごろごろ所在なく暮す身分となった。
旦那の慶三は毎日夕方から欠かさず通って来る。慶三は学校にいる時分から既に遊びはなかなか巧者な方であっただけ、一時は商売人を引かして囲者なぞにしなくとも、女を好自由にする手はいくらもある。そんな馬鹿気た金を使うのは余程間抜けた人間のする業のように悪く云っていた事もあったが、さて今度始めて経験して見ると、そこには云うに云われない味がある事を悟った。既に半年以上も買馴染んだ女ではあるが、改めて自分一人ぎりのものにして折々は丸髷にも結わして見るとその結立ての丸髷が翌日の朝無惨に崩れている有様なぞ、今までは左程にも思わなかったそれ等の事が、妙に不思議な新しい刺戟を覚えさせ、一刻も放したくないような心持がしてならぬのである。最初慶三はたとえ毎晩遊びに行っても決して家は明けないつもりで居たのであるが、その第一夜に彼は何の訳もなく宿り込んでしまった。そしてその翌日も午少し前に帰って夕方は燈のつくかつかない中に戻って来た。