Classici giapponesi con furigana
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Leggi 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.046 caratteri · 104 schermate
置きながら、いざ演壇に立つとなると、聴衆は自分等が著書の購読者だと思うので、成るべく前受のよさそうな演題を択び、有りもせぬ智慧をしぼって時々は滑稽なことも言って聴衆を倦ませぬようにと力めるのである。こうなっては文士も落語家と更に択ぶところがない。尤も字典には舌耕という古語も見えているから、文士が筆のあい間に舌で稼ぐこともあながち今に始ったわけでもないらしい。
大正十一年頃からラジオの放送が行われてから文士の舌耕はますます盛になり、今日では文学の講演は文士の定業の如き状況となった。聞く所によればラジオ放送所の文士に贈る講演料は一回五、六拾円を以て最高の価としているそうである。わたくしは生来訥弁であるので、公会の席で講演をする事を好まない。また人の講演を聴く気にもなったことがない。講演をきかなくとももしその人に著述があったなら静にそれを把って読めばよいであろう。わたくしは講演と称するものの大抵は無趣味なるを知ると共に、また会場の光景の殺風景なるを嫌うのである。またわたくしは日本人の面貌と言語と音声とはいずれも講義や演舌には最も適せざるものと思っている。