Classici giapponesi con furigana
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クーリーがしらのひょうじょう
苦力頭の表情
里村 欣三
Leggi 苦力頭の表情 (クーリーがしらのひょうじょう) di 里村 欣三 (さとむらきんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8583 caratteri · 18 schermate
苦力頭の表情
里村欣三
ふと、目と目がカチ合った。――はッと思う隙もなく、女は白い歯をみせて、にっこり笑った。俺はまったく面喰って臆病に眼を伏せたが、咄嗟に思い返して眼をあけた。すると女は、美しい歯並からころげ落ちる微笑を、白い指さきに軽くうけてさッと俺に投げつけた。指の金が往来を越えて、五月の陽にピカリと躍った。
俺は苦笑して地ベタに視線をさけた。――街路樹の影が、午さがりの陽ざしにくろぐろと落ちていた。石ころを二つ三つよごれた靴で蹴とばしているうちにしみじみ、
――いい女だなア――
と、浮気ぽい根性がうず痒く動いて来た。眼をあげると、女はペンキの剥げたドアにもたれて、凝っと媚を含んだ眼をこちらに向けていた。緑色のリボンで、ちぢれた髪を額から鉢巻のように結んだ、目の大きい、脊のスラリとした頬の紅い女であった。俺が顔をあげたのを知ると、女は笑って手招きした。俺はかぶりを振って、澄ました顔をした。すると女は怒って、やさしい拳骨を鼻の頭に翳して睨めつけた。
青草を枕に寝転んでいた露西亜人が、俺の肩を肱で小突いて指で円い形をこしらえて、中指を動かしてみせた。