Classici giapponesi con furigana
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もきちのいちめん
茂吉の一面
宇野 浩二
Leggi 茂吉の一面 (もきちのいちめん) di 宇野 浩二 (うのこうじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4671 caratteri · 10 schermate
にたずねて来て、かならず、どういう絵が印象に残ったかを聞かしてくれと云って、美術の門外漢の私のアヤフヤな感想を、大へん真面目な顔をして、「例」の手帳を出し、それに書き止めた。ところが、若い頃に画家になろうと志した程の、私などが足もとにも近づけない程の、美術に対して勝れた観照眼を持っている茂吉であった事を、ずっと後に、思い出して、私は、冷汗をかいたことである。
ヤン・ファン・アイクの描いた、ニコラス・アルベルガデイの肖像である。紅衣を著けて、その襟と、袖口のところに白いへりが附いてゐる。これには一つの素描も残つて居り、徹底した写実である。この老翁は豊かな面立で、顔の皺まで一つ一つ丁寧に描いてある。前額から顱頂にかけて薄くなつた毛髪と、顳※(「需+頁」、第3水準1-94-6)部の手入れした白毛を交へた毛髪と、眉間の溝、鼻唇溝、さういふものまで、あらむ限りの筆力を以て描いてゐる。ヤンはよく自分の描いた絵に、「自分の出来るかぎり」(Als ich chan)と署したのは、大いにおもしろいことである。このほかに、「石竹を持てる男の像」、「侍従官の像」等があり、共に精微を極めたものである。