Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きくちよしょう

菊千代抄

山本 周五郎

Leggi 菊千代抄 (きくちよしょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.178 caratteri · 72 schermate

Aozora Bunko

「おまえをばかだって、おれはそんな、そんなことをいってるんじゃないんだ」

「いいえ知ってます。あんたはあたしをなんにも出来ない女だと思ってるんです、鍬も鎌も持たせない、焚木も背負わせないこやしも担がせない、いっしょに苦労をしようと云って来て、あたしはずっとそのつもりで、なんでもしようと思うのに、あんたにはもう、……もうあたしが重荷になっているんだわ」

「やめて呉れ、頼むからやめて呉れ」

泣きだした妻に向って、竹次は哀願するようにこう云った。

「おまえに野良の仕事をさせないのは、決してそんなつもりじゃない、おまえにそんな事をさせるのがおれには辛いんだ、こんなやまがへ伴れて来て、しなくてもいい苦労をさせて、満足に着ることも食うこともできない。みんなおれの甲斐性なしのためだ、それだけだっておれは済まないと思ってるんだ」

「そんなことを云われてあたしが嬉しいと思うの、一つの物を分けて喰べるのが夫婦なら、苦労だって二人で分けあうのがあたりまえじゃないの」

「おまえは苦労しているじゃないか、おれはおまえの姿を見るたびに」

「やめて頂戴、そんなこと、あんた」

いくは叫んで良人に縋りつき、身を震わせて泣き、しどろもどろにかきくどいた。