Classici giapponesi con furigana
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きくちよしょう
菊千代抄
山本 周五郎
Leggi 菊千代抄 (きくちよしょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.178 caratteri · 72 schermate
……食事をしたあと、もういちど湯を浴び、寝所へはいったのが九時ころであろう、暑いのでいちど眼がさめ、掛け夜具を替えさせようと思ったが、昼の疲れであろう、全身がひどくだるく、そのうえ眠くもあるので、声をだすのも億劫になり、ついそのまま眠ってしまった。
どのくらい眠ったかわからない、誰かに呼び起こされているような感じでうとうとしているといつかしらあの忌わしい夢のなかへひきこまれた。
「――ああいけない、いけない」
身をもだえながら、その夢かられようとして、思わず叫んだ。その声で眼はさめたが、同時に自分が誰かに抱かれているのを知った。
――夢だ、まだ夢をみている。
こう思ったが夢ではなかった、柔らかい、熱いような肌が、自分の肌をぴったりと押しつけている、そうしてすぐ耳のそばで、喘ぐような、かすれた囁き声がした。
「そのまま、じっとしておいであそばせ、じっとして、なにもお考えなさらないで、そのままじっと、……もう少しおみ足を……」
葦屋の声であった。彼女のからだと手足の動作で、菊千代は自分が辱しめられているということを感じた。そのからだと手足をふり払わなくてはならない、突き退けなくてはならない。