Classici giapponesi con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Leggi 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.741 caratteri · 486 schermate
私はこの店でスキー帽を買ったことがある。上等の布地のやつであった。私は買うときには外出用に被るつもりであったが、その後冬の朝の配達には持ってこいの代物であることに気がついたので、それからは専ら業務用に使用した。この帽子はてもなく防空頭巾のようなものであった。暖かで、これを被って配達をすると、顔中がほかほかしてきて、配達を終る頃には一ぱい汗をかいた。この店の職人に足の悪い人がいた。もういい年輩の気の弱そうな人であった。私が夕刊を配っていくと、仕事の手を休めて待ちかねたようにして新聞をひろげるのが、きまりであった。私が勧誘の材料を抱えて店の前を通る折りに、顔があったりすると、眼顔でうなずいた。お互いになんとなく好意を感じていた。この店にも年頃の娘がいたが太平洋のいくさが始まった頃、入谷町の果物屋にお嫁入りをした。私はその人のおかみさん姿も見たし、それから母親になった姿も見た。
この辺まで配達すると、順路帳の最初の一枚を一めくりしたことになる。まだほんの序の口で、前途は遼遠である。順路帳の方はそのままにして、一寸気持を換えよう。この区域を廻っていた商売敵であるN新聞の配達は朝鮮人の学生であった。