Classici giapponesi con furigana
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くらのにかい
蔵の二階
豊島 与志雄
Leggi 蔵の二階 (くらのにかい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.351 caratteri · 27 schermate
それだとすれば、椎の木はたいへん防火に効果があるそうだから、境界近くに椎の木を並べ植えたらよかろうと、桂介は言った。
「椎の木が何の役に立つものですか。一乗寺の大椎さえ燃えてしまったじゃありませんか。いざ火事となれば、立木も却って火を呼びます。」
空襲の大火のことが、カヨの頭には深く刻みこまれているのである。
つまらないことを隣家へ談判にも行けないので、桂介は打ち捨てておいた。ところが、カヨ自身で、工事をしてる大工に探りを入れて、建築は境界から六尺ほど引込んだ設計であり、境界には低い四つ目垣を拵える予定であることが、はっきりした。
「やっぱり、お隣りでも、火事のことを考えていると見えますよ。」
カヨは安心したように眉根を開いた。
然し、周囲に対するそういう配慮は、カヨとしては特別なことで、たいていは二階の室に閉じ籠っているのである。それは蝸牛の殻のようなもので、彼女はその室を背負い、その室の中に生きてるのだった。
一階には桂介夫婦と二人の子供とが暮していて、手狭なところから、日用品以外の家具什器の類はみな、二階の片隅の板戸で仕切った中に納められている。