Classici giapponesi con furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Leggi 薄紅梅 (うすこうばい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 61.133 caratteri · 122 schermate
一葉女史の墓だときいて、庭の垣根の常夏の花、朝涼だから萎むまいと、朝顔を添えた女の志を取り受けて、築地本願寺の墓地へ詣でて、夏の草葉の茂りにも、樒のうらがれを見た覚えがある……
……とばかりで、今、今まで胴忘れをしていた、お京さん……が、何しに来たろう。ああ、あの時の雑誌の使いの挨拶だ。
尾花を透かして、
蜻蛉の目で。……
見ていると、その縁の敷居際に膝をついたまま、こちらを視めたようだっけ……後姿に、そっと立った。真横の襖を越して、背戸正面に半ば開いたのが見える。角の障子の、その、隅へ隠れたらしい。
それは居間だ。四畳半、机がある。仕事場である。が、硯も机も埃だらけ、炉とは名のみの、炬燵の藻抜け、吸殻ばかりで、火の気もない。
右手の一方は甥の若いのが遣り放し、散らかし放題だが、まだその方へ入ってくれればよかったものをと、さながら遁出したあとの城を、乗取られたようなありさまで。――とにかく、来客――跣足のまま、素袷のくたびれた裾を悄々として、縁側へ――下まで蔓る南瓜の蔓で、引拭うても済もうけれど、淑女の客に、そうはなるまい。台所へ廻ろうか、足を拭いてと、そこに居る娘の、呼吸の気勢を、伺い伺い、縁端へ。