Classici giapponesi con furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Leggi 薄紅梅 (うすこうばい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 61.133 caratteri · 122 schermate
が、寸の短い方は、黒の羽織に袴なし、蓑もなしで、見っともない、その上紋着。やがて渚に聞けば、しかも五つ紋で。――これは外套の頭巾ばかりを木菟に被って、藻抜けたか、辷落ちたか、その魂魄のようなものを、片手にふらふらと提げている。渚に聞けば、竹の皮包だ――そうであった。
「――あれ、辻町さんよ、ちょいと。」
「辻……町」
「糸七さんですってば。――つい、取紛れて、いきなり噂をしようって処、おくれちまいましたんですがね、いま、さっき、現にいま……」
「今……」
「懐剣、といって、花々しく、あなたがその木戸をお開けなすった時ですよ。立停ってしばらく見ていましたんですよ、二人とも。頭巾を被っておいでだし、横吹きに吹掛けていましたから、お気がつかなかったんです。もっともね、すぐその前、あすこで――私はお約束の大時計より、大変な後れ方ですから、俥をおりると、早廻りに、すぐ池の端へ出て、揚出しわきの、あの、どんどんの橋を渡って、正面に傘を突翳して来たんでしょう。ぶつかりそうに、後縋りに、あの二人に。
おや……帽子はすっぽりでも、顔は分りましたから、ちょっと挨拶はしましたけれど、御堂の方へ心はせきます。