Classici giapponesi con furigana
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あざみ
薊
山本 周五郎
Leggi 薊 (あざみ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.800 caratteri · 32 schermate
「この包んであるのはなんです」と弟の佐久馬が呼びかけた、「包紙に中川書林とありますがね」
「中川書林、――知らないな」
「解いてみてもいいですか」
銕太郎は黙って頷いた。
「へええ」包を解き、中から書物を取出した佐久馬は、第一冊の頁をめくってみて笑った、「おどろいたな、こいつはどうも」彼は次つぎと、五冊を順にめくってみた、「みんな好色本ですよ、知らなかったんですか」
板塀のかなたの「沼」のほうで、鴨の鳴く声がし、水を叩く翼の音が聞えた。
「わたくしがまんができませんの」とゆきをが云った、「ほかのことは辛抱しますけれど、この男臭さだけはだめなんです」
「知らなかったね」と銕太郎が弟に云った、「中川ではときどきそんな物を送って来た、たいてい返したつもりだが、それだけは忘れていたんだろう」
「お願いですから」とゆきをが云った、「わたくしの寝間をべつにして下さいまし」
男には男の躰臭があり、女には女のそれがある。おれには妻のからだの匂いは、好ましく刺戟的であった、と銕太郎は思った。妻のからだの触感は、いまなお彼の手や肌になまなましく生きている。妻の躯はやや大柄であるのに、胸乳や腰は小さいほうであった。