Classici giapponesi con furigana
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ばらふじん
薔薇夫人
江戸川 乱歩
Leggi 薔薇夫人 (ばらふじん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8967 caratteri · 19 schermate
汽船たちのマストの上の燈火が、キラキラと美しくきらめき出した。「ひとりぼっちだなあ……」たまらない孤独であった。今朝上野駅について、浅草と有楽町で、映画を二つ見た。映画館の群衆は、自分とは全く違った別世界の生きもののように見えた。それから、銀座通りを、京橋から新橋まで、三度ほど行ったり来たりした。じっとしていられなかったからだ。そこを通っている人達も、まるで異国人であった。
少し寒くなって来た。秋だ。落葉の期節に近づいていた。浩一は立上ると、うつろな顔で歩き出した。あてどもなく、足の向くままに歩いていると、賑かな新橋の交叉点に出た。やっぱり心の奥では群衆を恋しがっていたのだ。
歩道の群衆にまじって、その人むれの中に溶けこんで消えてしまいたいと思いながら、尾張町の方へ歩いていた。「こうして、永遠に歩いていられたら」と願った。しかし、夜が更けると銀座は電車のレールの目立つ廃墟になることを知っていた。それが恐ろしかった。
群衆と同じように、ショーウインドーを覗きながら歩いていたが、目には何も映らなかった。キラキラした、彼とは何の縁もない品物が、無意味に並んでいるにすぎなかった。