Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くすりうり

薬売り

小川 未明

Leggi 薬売り (くすりうり) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3791 caratteri · 8 schermate

Aozora Bunko

一

一

どこからともなく、北国に、奇妙な男が入ってきました。

その男は黄色な袋を下げて、薬を売って歩きました。夏の暑い日に、この男は村から村を歩きましたが、人々は気味を悪がって、あまり薬を買ったものがありません。

けれど、男は根気よく、日盛りをかさをかぶって、黄色な袋を下げて、

「あつさあたりに、食べあたり、いろいろな妙薬」といって、呼び歩きました。

子供らは、人さらいがきたといって、この薬売りがくると怖ろしがって逃げ隠れたりして、だれもそばには寄りつきませんでした。

ある日のこと、太郎は独り圃に出て遊んでいました。遠くの方で、糸車の音が聞こえてきました。海のある方の空が、青くよく晴れ渡って雲の影すらなかったのです。とんぼが、きゅうりや、すいかの大きな葉の上に止まったり、棒の先に止まったりしているほか、だれも人影がなかったのです。

このとき、かなたから、薬売りの声が聞こえたのであります。毎日、毎日、こうして根気よく歩いても、あまり買う人がないだろうと、村の人々がいったことを太郎は胸に思い出して、なんとなく、その薬売りが気の毒なような感じがしたのでありました。