Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
らん
蘭
山本 周五郎
Leggi 蘭 (らん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.247 caratteri · 21 schermate
五
松子は迷いはしないだろうね」
「はい……」
われ知らず、かの女は片手で胸を押えた。
「あれは、まれな人間だ。お家のためには、けっして欠くことのできない、やがては勝山藩の柱石ともなる人間だ。夫としてはいうまでもない。松子はきっと、しあわせになるよ」
「でもわたくし、黒沢さまの妻として、恥ずかしくない者になれますでしょうか」
「平三郎は松子を愛している。男らしい清明な深い愛だ。それがすべてを生かしてくれる。かれの愛を信じていれば、松子は、しあわせなよい妻になれるよ」
煙がなびいて来たので、かれは目たたきをしながらせきいり、立ってわきのほうへ位置を移した。
「……ああけむい。すっかり目にしみてしまった」
五
すべてが灰になってしまうと、かれはその穴を埋めた。松子は、夕げの菜をとるのだといって、菜圃のほうへまわったが、そこから、にわかに声をあげて、かれを呼んだ。蘭が咲いたというのである。行ってみると、そのとおりだった。寒蘭が一輪、ひっそりと、花を咲かせていた。濃い紫色の五弁の花で、結い根に近く、あざやかな朱の点がある。――きょうという日に、そう思いながら、かれはかがみこんだ。