Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

と甲野さんは駱駝の毛布を頭から被ったまま、存外冷淡である。

「そうか、寝なかったのか」

「少しは寝た」

「何だ、そんなものを頭から被って……」

「寒い」と甲野さんは膝掛の中で答えた。

「僕は腹が減った。まだ飯は食わさないだろうか」

「飯を食う前に顔を洗わなくっちゃ……」

「ごもっともだ。ごもっともな事ばかり云う男だ。ちっと富士でも見るがいい」

「叡山よりいいよ」

「叡山? 何だ叡山なんか、たかが京都の山だ」

「大変軽蔑するね」

「ふふん。――どうだい、あの雄大な事は。人間もああ来なくっちゃあ駄目だ」

「君にはああ落ちついちゃいられないよ」

「保津川が関の山か。保津川でも君より上等だ。君なんぞは京都の電車ぐらいなところだ」

「京都の電車はあれでも動くからいい」

「君は全く動かないか。ハハハハ。さあ駱駝を払い退けて動いた」と宗近君は頭陀袋を棚から取り卸す。室のなかはざわついてくる。明かるい世界へ馳け抜けた汽車は沼津で息を入れる。――顔を洗う。

窓から肉の落ちた顔が半分出る。疎髯を一本ごとにあるいは黒くあるいは白く朝風に吹かして

「おい弁当を二つくれ」と云う。孤堂先生は右の手に若干の銀貨を握って、へぎ折を取る左と引き換に出す。