Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「宗近の阿爺の所へ行った時、そう云ったとさ」
「よっぽど男らしくない性質ですね。それより早く糸子さんでも貰ってしまったら好いでしょうに」
「全体貰う気があるのかね」
「兄さんの料簡はとても分りませんわ。しかし糸子さんは兄さんの所へ来たがってるんですよ」
母は鳴る鉄瓶を卸して、炭取を取り上げた。隙間なく渋の洩れた劈痕焼に、二筋三筋藍を流す波を描いて、真白な桜を気ままに散らした、薩摩の急須の中には、緑りを細く綯り込んだ宇治の葉が、午の湯に腐やけたまま、ひたひたに重なり合うて冷えている。
「御茶でも入れようかね」
「いいえ」と藤尾は疾く抜け出した香のなお余りあるを、急須と同じ色の茶碗のなかに畳み込む。黄な流れの底を敲くほどは、さほどとも思えぬが、縁に近くようやく色を増して、濃き水は泡を面に片寄せて動かずなる。
母は掻き馴らしたる灰の盛り上りたるなかに、佐倉炭の白き残骸の完きを毀ちて、心に潜む赤きものを片寄せる。温もる穴の崩れたる中には、黒く輪切の正しきを択んで、ぴちぴちと活ける。――室内の春光は飽くまでも二人の母子に穏かである。
この作者は趣なき会話を嫌う。猜疑不和の暗き世界に、一点の精彩を着せざる毒舌は、美しき筆に、心地よき春を紙に流す詩人の風流ではない。