Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

赤も吸い、青も吸い、黄も紫も吸い尽くして、元の五彩に還す事を知らぬ真黒な化石になりたい。それでなければ死んで見たい。死は万事の終である。また万事の始めである。時を積んで日となすとも、日を積んで月となすとも、月を積んで年となすとも、詮ずるにすべてを積んで墓となすに過ぎぬ。墓の此方側なるすべてのいさくさは、肉一重の垣に隔てられた因果に、枯れ果てたる骸骨にいらぬ情けの油を注して、要なき屍に長夜の踊をおどらしむる滑稽である。遐なる心を持てるものは、遐なる国をこそ慕え。

考えるともなく考えた甲野君はようやくに身を起した。また歩行かねばならぬ。見たくもない叡山を見て、いらざる豆の数々に、役にも立たぬ登山の痕迹を、二三日がほどは、苦しき記念と残さねばならぬ。苦しき記念が必要ならば数えて白頭に至って尽きぬほどある。裂いて髄にいって消えぬほどある。いたずらに足の底に膨れ上る豆の十や二十――と切り石の鋭どき上に半ば掛けたる編み上げの踵を見下ろす途端、石はきりりと面を更えて、乗せかけた足をすわと云う間に二尺ほど滑べらした。甲野さんは

「万里の道を見ず」

と小声に吟じながら、傘を力に、岨路を登り詰めると、急に折れた胸突坂が、下から来る人を天に誘う風情で帽に逼って立っている。