Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
女はまだ何にも言わぬ。床に懸けた容斎の、小松に交る稚子髷の、太刀持こそ、昔しから長閑である。狩衣に、鹿毛なる駒の主人は、事なきに慣れし殿上人の常か、動く景色も見えぬ。ただ男だけは気が気でない。一の矢はあだに落ちた、二の矢のあたった所は判然せぬ。これが外れれば、また継がねばならぬ。男は気息を凝らして女の顔を見詰めている。肉の足らぬ細面に予期の情を漲らして、重きに過ぐる唇の、奇か偶かを疑がいつつも、手答のあれかしと念ずる様子である。
「まだ、そこにいらしったんですか」と女は落ちついた調子で云う。これは意外な手答である。天に向って彎ける弓の、危うくも吾が頭の上に、瓢箪羽を舞い戻したようなものである。男の我を忘れて、相手を見守るに引き反えて、女は始めより、わが前に坐われる人の存在を、膝に開ける一冊のうちに見失っていたと見える。その癖、女はこの書物を、箔美しと見つけた時、今携えたる男の手からぎ取るようにして、読み始めたのである。
男は「ええ」と申したぎりであった。
「この女は羅馬へ行くつもりなんでしょうか」
女は腑に落ちぬ不快の面持で男の顔を見た。小野さんは「クレオパトラ」