Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
汗を流して斬り込むならまだしも、斬り込んで置きながら悠々として柱に倚って人を見下しているのは、酒を飲みつつ胡坐をかいて追剥をすると同様、ちと虫がよすぎる。
「驚くうちは楽があるんでしょう」
女は逆に寄せ返した。男は動じた様子もなく依然として上から見下している。意味が通じた気色さえ見えぬ。欽吾の日記に云う。――ある人は十銭をもって一円の十分一と解釈し、ある人は十銭をもって一銭の十倍と解釈すと。同じ言葉が人に依って高くも低くもなる。言葉を用いる人の見識次第である。欽吾と藤尾の間にはこれだけの差がある。段が違うものが喧嘩をすると妙な現象が起る。
姿勢を変えるさえ嬾うく見えた男はただ
「そうさ」と云ったのみである。
「兄さんのように学者になると驚きたくっても、驚ろけないから楽がないでしょう」
「楽?」と聞いた。楽の意味が分ってるのかと云わぬばかりの挨拶と藤尾は思う。兄はやがて云う。
「楽はそうないさ。その代り安心だ」
「なぜ」
「楽のないものは自殺する気遣がない」
藤尾には兄の云う事がまるで分らない。蒼い顔は依然として見下している。なぜと聞くのは不見識だから黙っている。