Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
危ないという気色は影さえ見えぬ。
「藤尾が一人出ると昨夕のような女を五人殺します」
鮮かな眸に滴るものはぱっと散った。表情はとっさに変る。殺すと云う言葉はさほどに怖しい。――その他の意味は無論分らぬ。
「あなたはそれで結構だ。動くと変ります。動いてはいけない」
「動くと?」
「ええ、恋をすると変ります」
女は咽喉から飛び出しそうなものを、ぐっと嚥み下した。顔は真赤になる。
「嫁に行くと変ります」
女は俯向いた。
「それで結構だ。嫁に行くのはもったいない」
可愛らしい二重瞼がつづけ様に二三度またたいた。結んだ口元をちょろちょろと雨竜の影が渡る。鷺草とも菫とも片づかぬ花は依然として春を乏しく咲いている。
十四
電車が赤い札を卸して、ぶうと鳴って来る。入れ代って後から町内の風を鉄軌の上に追い捲くって去る。按摩が隙を見計って恐る恐る向側へ渡る。茶屋の小僧が臼を挽きながら笑う。旗振の着るヘル地の織目は、埃がいっぱい溜って、黄色にぼけている。古本屋から洋服が出て来る。鳥打帽が寄席の前に立っている。今晩の語り物が塗板に白くかいてある。空は針線だらけである。一羽の鳶も見えぬ。