Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
あるとは云い切らない。世話になった昔の人に、心細く附き添う小さき影を、逢わぬ五年を霞と隔てて、再び逢うたばかりの朦朧した間柄と云い切ってしまった。恩を着るは情の肌、師に渥きは弟子の分、そのほかには鳥と魚との関係だにないと云い切ってしまった。できるならばと辛防して来た嘘はとうとう吐いてしまった。ようやくの思で吐いた嘘は、嘘でも立てなければならぬ。嘘を実と偽わる料簡はなくとも、吐くからは嘘に対して義務がある、責任が出る。あからさまに云えば嘘に対して一生の利害が伴なって来る。もう嘘は吐けぬ。二重の嘘は神も嫌だと聞く。今日からは是非共嘘を実と通用させなければならぬ。
それが何となく苦しい。これから先生の所へ行けばきっと二重の嘘を吐かねばならぬような話を持ちかけられるに違ない。切り抜ける手はいくらもあるが、手詰に出られると跳ねつける勇気はない。もう少し冷刻に生れていれば何の雑作もない。法律上の問題になるような不都合はしておらんつもりだから、判然断わってしまえばそれまでである。しかしそれでは恩人に済まぬ。恩人から逼られぬうちに、自分の嘘が発覚せぬうちに、自然が早く廻転して、自分と藤尾が公然結婚するように運ばなければならん。