Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

する。先生も自分もぐずぐずすると一つ穴へはまって、影のように消えて行きそうだ。

「先生、御頼の洋灯の台を買って来ました」

「それはありがたい。どれ」

小野さんは薄暗いなかを玄関へ出て、台と屑籠を持ってくる。

「はあ――何だか暗くってよく見えない。灯火を点けてから緩くり拝見しよう」

「私が点けましょう。洋灯はどこにありますか」

「気の毒だね。もう帰って来る時分だが。じゃ椽側へ出ると右の戸袋のなかにあるから頼もう。掃除はもうしてあるはずだ」

薄暗い影が一つ立って、障子をすうと明ける。残る影はひそかに手を拱いて動かぬほどを、夜は襲って来る。六畳の座敷は淋しい人を陰気に封じ込めた。ごほんごほんと咳をせく。

やがて椽の片隅で擦る燐寸の音と共に、咳はやんだ。明るいものは室のなかに動いて来る。小野さんは洋袴の膝を折って、五分心を新らしい台の上に載せる。

「ちょうどよく合うね。据りがいい。紫檀かい」

「模擬でしょう」

「模擬でも立派なものだ。代は?」

「何ようござんす」

「よくはない。いくらかね」

「両方で四円少しです」

「四円。なるほど東京は物が高いね。――少しばかりの恩給でやって行くには京都の方が遥かに好いようだ」