Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

ややあって護謨の尻をきゅうっと洋卓の上へ引っ張りながら云う。

「じゃ、どうあっても家を襲ぐ気はないんだね」

「家は襲いでいます。法律上私は相続人です」

「甲野の家は襲いでも、母かさんの世話はしてくれないんだね」

甲野さんは返事をする前に、眸を長い眼の真中に据えてつくづくと母の顔を眺めた。やがて、

「だから、家も財産もみんな藤尾にやると云うんです」と慇懃に云う。

「それほどに御云いなら、仕方がない」

母は溜息と共に、この一句を洋卓の上にうちやった。甲野さんは超然としている。

「じゃ仕方がないから、御前の事は御前の思い通りにするとして、――藤尾の方だがね」

「ええ」

「実はあの小野さんが好かろうと思うんだが、どうだろう」

「小野をですか」と云ったぎり、黙った。

「いけまいか」

「いけない事もないでしょう」と緩くり云う。

「よければ、そうきめようと思うが……」

「好いでしょう」

「好いかい」

「ええ」

「それでようやく安心した」

甲野さんはじっと眼を凝らして正面に何物をか見詰めている。あたかも前にある母の存在を認めざるごとくである。

「それでようやく――御前どうかおしかい」

「母かさん、藤尾は承知なんでしょうね」