Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「無論知っているよ。なぜ」
甲野さんは、やはり遠方を見ている。やがて瞬を一つすると共に、眼は急に近くなった。
「宗近はいけないんですか」と聞く。
「一かい。本来なら一が一番好いんだけれども。――父さんと宗近とは、ああ云う間柄ではあるしね」
「約束でもありゃしなかったですか」
「約束と云うほどの事はなかったよ」
「何だか父さんが時計をやるとか云った事があるように覚えていますが」
「時計?」と母は首を傾げた。
「父さんの金時計です。柘榴石の着いている」
「ああ、そうそう。そんな事が有ったようだね」と母は思い出したごとくに云う。
「一はまだ当にしているようです」
「そうかい」と云ったぎり母は澄ましている。
「約束があるならやらなくっちゃ悪い。義理が欠ける」
「時計は今藤尾が預っているから、私から、よく、そう云って置こう」
「時計もだが、藤尾の事を重に云ってるんです」
「だって藤尾をやろうと云う約束はまるで無いんだよ」
「そうですか。――それじゃ、好いでしょう」
「そう云うと私が何だか御前の気に逆うようで悪いけれども、――そんな約束はまるで覚がないんだもの」
「はああ。じゃ無いんでしょう」