Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

「さあ、御拭き」と云いながら糸子の胸の先へ押し付ける。妹は作りつけの人形のようにじっとして動かない。宗近君は右の手に手巾を差し出したまま、少し及び腰になって、下から妹の顔を覗き込む。

「糸公厭なのかい」

糸子は無言のまま首を掉った。

「じゃ、行く気だね」

今度は首が動かない。

宗近君は手巾を妹の膝の上に落したまま、身体だけを故へ戻す。

「泣いちゃいけないよ」と云って糸子の顔を見守っている。しばらくは双方共言葉が途切れた。

糸子はようやく手巾を取上げる。粗い銘仙の膝が少し染になった。その上へ、手巾の皺を叮嚀に延して四つ折に敷いた。角をしっかり抑えている。それから眼を上げた。眼は海のようである。

「私は御嫁には行きません」と云う。

「御嫁には行かない」とほとんど無意味に繰り返した宗近君は、たちまち勢をつけて

「冗談云っちゃいけない。今厭じゃないと云ったばかりじゃないか」

「でも、欽吾さんは御嫁を御貰いなさりゃしませんもの」

「そりゃ聞いて見なけりゃ――だから兄さんが聞きに行くんだよ」

「聞くのは廃してちょうだい」

「なぜ」

「なぜでも廃してちょうだい」

「じゃしようがない」