Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

「だって、宗近だって外交官の試験に及第しないで困ってるところだよ。頼んだってしようがない」

「なに構わん。話に行って見る」

小野さんは眼を地面の上へ卸して、二三間は無言で来た。

「君、先生のところへはいつ行ってくれる」

「今夜か明日の朝行ってやる」

「そうか」

麦畑を折れると、杉の木陰のだらだら坂になる。二人は前後して坂を下りた。言葉を交すほどの遑もない。下り切って疎な杉垣を、肩を並べて通り越すとき、小野さんは云った。――

「君もし宗近へ行ったらね。井上先生の事は話さずに置いてくれたまえ」

「話しゃせん」

「いえ、本当に」

「ハハハハ大変恥かんどるの。構わんじゃないか」

「少し困る事があるんだから、是非……」

「好し、話しゃせん」

小野さんははなはだ心元なく思った。半分ほどは今頼んだ事を取り返したく思った。

四つ角で浅井君に別れた小野さんは、安からぬ胸を運んで甲野の邸まで来る。藤尾の部屋へ這入って十五分ほど過ぎた頃、宗近君の姿は甲野さんの書斎の戸口に立った。

「おい」

甲野さんは故の椅子に、故の通りに腰を掛けて、故のごとくに幾何模様を図案している。丸に三つ鱗はとくに出来上った。