Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
むし
虫
江戸川 乱歩
Leggi 虫 (むし) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.053 caratteri · 86 schermate
知合いと見えて、芙蓉は快くその誘いに応じて、車の方へ歩きかけたが、その時やっと、彼女のあの特徴のある大きな目が、柾木の姿を発見したのである。
「アラ、柾木さんじゃありませんの」
彼女の方で声をかけてくれたので、柾木は救われた思いがした。
「エエ、通り合わせたので、お送りしようかと思って」
「マア、そうでしたの。では、お願い致しますわ。私丁度一度御目にかかりたくっていたのよ」
彼女は先口の紳士を無視して、さも慣れ慣れしい口を利いた。そして、その紳士にあっさり詫言を残したまま、柾木に何かと話しかけながら、彼の車に乗ってしまったのである。柾木は、このはれがましい彼女の好意に、嬉しいよりは、面喰って、運転手に予ねて聞知った芙蓉の住所を告げるのも、しどろもどろであった。
「池内さんたら、この前の日曜日の御約束をフイにしてしまって、ひどござんすわ。それとも、あなたにお差支がありましたの」
車が動き出すと、その震動につれて、彼の身近く寄り添いながら、彼女は話題を見つけ出した。彼女は其後も池内と三日にあげず、会っていたのだから、これは無論御世辞に過ぎなかった。柾木は、芙蓉の身体の暖い触感に、ビクビクしながら、差支のあったのは、池内の方だろうと答えると、彼女は、では、今月の末こそは、是非どこかへ参りましょう。