Classici giapponesi con furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Leggi 蜘蛛の夢 (くものゆめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.189 caratteri · 298 schermate
勿論、母にもそんな話はしませんでした。
その日はずいぶん暑かったのを覚えています。あんまり蒸すから今に夕立でも降るかも知れないと母が言っていますと、果して七つ半、唯今の午後五時でございます。その頃から空が陰って来ました。西の方角で遠い雷の音がきこえました。わたくしも雷が嫌いですが、母はなおさら嫌いで、かみなり様が鳴り出したが最後、顔の色をかえて半病人のようになってしまうのでございます。空は陰って来る、雷は鳴って来る、母の顔色はだんだん悪くなって来る。わたくしもかねて心得ていますから、蚊帳を吊る。お線香の支度をする。それから裏の空き地へ出て干物を片づける。そのうちに大粒の雨が降って来る。いなびかりがする。あわてて雨戸を繰出している間に、母は蚊帳のなかへ逃げ込んでしまいました。
いや、こんなことを詳しく申上げていては長くなります。とにかく、それから半時あまりは雨と雷と稲びかりとが続いて、わたくしも仕舞いには母の蚊帳のなかへもぐり込むような始末でございました。横町の中ほどにある大きい銀杏に雷が落ちたときには、わたくしも気が遠くなるくらいに驚かされました。