Classici giapponesi con furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Leggi 蜘蛛の夢 (くものゆめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.189 caratteri · 298 schermate
幾度もおなじことを申すようですが、まったくその時のわたくしは怖いような、悲しいような、なんともいえない心持でございました。
五つ(午後八時)過ぎになって、母は再び会津屋へ出て行きましたが、お定の行くえはやはり知れません。叔父も帰って来ないのでございます。といって、わたくし共がどうすることも出来ないのですから、母もわたくしも心配しながらその晩は遅く寝床にはいりました。夕立のあとは余ほど涼しくなったのでございますが、二人ながらおちおち眠られませんでした。
寝苦しい一夜を明かすと、あしたは晴れていて朝から暑くなりました。雷に撃たれた銀杏の木は、大きい枝を半分折られたのですが、その幹には蝉が飛んで来て、ゆうべの事なんぞはなんにも知らないように朝からそうぞうしく鳴いていました。裏の井戸へ水を汲みに出ると、近所の娘やおかみさんが二、三人あつまって、ゆうべの女の噂で賑わっていました。そのなかで仕事師のおかみさんが、その後の成行きを一番よく知っていて、みんなに話して聞かせました。
「あの女はよい辰という遊び人の娘で、去年まで新宿の芸妓をしていたんですとさ。それが近江屋という質屋の旦那の世話になって、今では商売をやめて家にぶらぶらしていたんだそうです。